2020年5月19日火曜日

立正大学社会福祉学部の皆さんへ   part.4


遊びについて              

 故・斉藤公子先生は「子どものすることには発達に関して意味があるのです。危ないからと考えなしに止めるんじゃないよ」と言うのが口癖でした。世界でも子どもの遊びについてあちこちの研究者が遊びの効能と不足している現在を憂いて提言しています。



BS1 世界のドキュメンタリー「遊びの科学」 2019129日放送

世界的に屋外で遊ぶことが少なくなったのは1980年代ビデオゲームが出てきてから。家の外は危ない、ケガをする、誘拐もある。1980年代にテレビゲームで外で遊ばなくなった世代が親になっている。外遊びの必要性を感じない世代が親になっている。



遊びが失われて・・・前頭葉皮質が十分発達しない。生きていく上で予想もしない様々な困難に直面するが対応する能力が乏しい。暴力的な衝動を抑えられない。精神的な疾患が増える。人間形成に影響を及ぼす。リスクを伴う行動こそケガを予防する。リスクをコントロールする術を身につける。より良い人間的社会をつくる基盤になる。例えば役割分担、協力し合う、譲り合うなど。民主主義社会の一員になるためのルールを身につける。遊びは将来における成功のカギになる。楽観的に物事を見たり、達成感や自信や自己を認識する力を養う。



ノルウェーとカナダの研究者が共同して、子どもの遊びを発展させて街作りをしたり、こじんまりしたものや安全性重視のものを取り去り、スリルが味わえる、危ない遊びを体系化した保育園作りをしている映像がありました。それを見ると、裸足で走り回る子や火遊びや金づちと釘とノコギリを使う、結構高い木に登ったり、等々ひかりの日常と同じようでした。

 ノルウェーの研究者の発言から・・・親の世代は自然の中で遊んでいないので、自分の子にはケガをするからさせないというのです。ケガをする子は10人に1人で少なすぎると思うのです。ワクワク、ハラハラ、ドキドキする遊びは自分の力を知る(試す)チャンスなのです。 そこで危ない遊びをしている子どもたちから話を聞くことにしました。子どもはどのように思っているのか? 

子どもはからだの反応で答えてくれた。お腹がムズムズする、心臓がドキドキする。怖くても面白い(こわおもしろい)肯定的な答えだったと言うのです。

 この子どもに聞いてみるという行為は決定的に大事だと思うのです。聞いてみても子どもの意見を採用するとなると日本では特に難しいでしょうね。



日本の保育の遊びには、先生が中心になって、計画(企画)して、構成して、設定して遊ばせるというのも遊びと言っているようです。反面、全く先生は口を出さず、子どもたちのやりたいように任せて、興味のある子たちが自然に集まって来て遊び、その中に、遊びの仲間に先生が入れてもらうというのも遊びだと思うのです。

 よく子どもたちが遊ばないという話を聞きますが、面白く無いから遊ばないのです。

子どもたちが嬉々として遊ぶ遊びってどんなものなのでしょうか?これから保育士や教師になろうとしている学生さんたちに宿題にしましょう。

学生さんたちも外で危ない遊びをしてこなかった世代ですか。

遅くはないと思います。人間が変わろうとするのに遅いという事はないのですから。

サクランボ

柿の木です
どどめです
桑の実を食べています
園庭で遊んでいます
積み木で遊んでいるところ
何か作って得意げに
遊びながら雑巾がけ
雪山合宿で遊んでいるところ